ここではないどこかに行きたい(=何かから逃げたい)気持ちに任せて、何から逃げてるのかもわからないまま上京してきて二年経った。
ここではないどこかに来て分かったのは何者でもない自分から逃げてたということで、二年経っても相変わらず僕は何者でもないしここではないどこかはどこでもなくて、何者でもない上に自分がどこに立っているかもよく分からない宙ぶらりんな感じになってる。学生という肩書きがあった時は、学生ですと社会的な立場を名乗れば学生になれていたけど、それは借り物でしかなくて、学生が終わった今は僕って何ですか状態。こんなの聞いてない。
じたばたともがいてまたここではないどこかに逃げる為に毎日外に出ているけど逃げているのは自分自身からなのでどこに行っても逃げ場はないしどこに行ってもそこはどこにもなり得ないので馬鹿だから考えを言語化してるうちに同じ言葉を繰り返して話したいことがぐるぐる回りながらガンガン肥大化していきます。
今日出かけるときに同じタイミングで電車に乗った女の子が偶然帰りも同じ電車でした。ここから何か面白いことが起こって僕を何者かにしてどこかへ連れてってくれたらいいのに、と思うけど今日も帰るべき家に帰って宙ぶらりんなまま布団に入って気分にまで働くような重力によって固いマットレスに沈んでいくのでした。