先週末、毎日通ってた道の途中にある大きくて古い家が取り壊されていた。

毎日毎日その家の前を歩いて、時々大きくて古い家だなあと思ったりした以外の思い出はない。その家の前で何かドラマチックなことも起こってないしただ毎日歩いたり自転車に乗ったりしながら通り過ぎただけの景色だ。壊される少し前から工事をする時特有の灰色のカバーをかけられていて、どこか大規模な補修工事でもするのかな?と思いながらも別に立ち止まりもせず見慣れないいつもと少し違う景色を横目に出かけたり家に帰ったりしていた。それが先週末の夜に通った時には工事をする時特有の灰色のカバーどころか家もなくなって更地になっていた。手品かよ。

無くなるなら無くなるよって教えておいてほしい。思い出はないけど3年間も毎日毎日朝夕と通りかかってきた仲なんだから。こっちだって、色々心の準備ってものがある。と言いつつも薄情なもので今日もいつも通りその道を通った時、一瞬その更地に元々何があったのか思い出せなかった。思い出せないことにビクッとしてから、必死になって大きくて古い家があったことを思い出したけど、たった一週間足らずのうちにその前のことを一瞬思い出せないほど更地に見慣れてしまうことなんてあっていいのかよ。

古いものとか思い出だとか、そういうものに固執してるってわけじゃないんだけど、たとえそんな大事じゃない記憶だったとしてもあんまり忘れたくないし、みんな忘れて「あれ〜あそこなんだったっけ〜〜」みたいになるのも寂しいから、忘れたくない景色だとか、人に見せたいものだとか、そういうの関係なく今後はなんでもかんでもバシバシ写真撮ってこうかなと思いました。