元彼に誘われて渋谷のプラネタリウムに行った。12時待ち合わせ。私が着いたのは13時15分。元彼は「12時半に着いたからコーヒー飲んで煙草吸ってぼーっとしてちょうどいいくらい」と言ってヘラヘラしてて、なんとなく気に食わなかったから、私は「こういう時は怒るんだよ」と言って怒った。8ヶ月ぶりに会った元彼はまた東京の人みたいな見た目になってて、そこもなんとなく気に食わなかった。暑い暑いと言いながらゾンビみたいに歩く元彼と腕がぶつかるくらいの距離で歩いていたら「僕汗かいてるから触ると気持ち悪いし離れなよ、あと暑いし」と少しムスッとしたように言うので、私は「こういうときは喜ぶんだよ」と教えてあげた。

渋谷区文化センター大和田について、14時半から上映の天の川の話がメインになるプラネタリウムのチケットを買い、先に昼食をとった。4年前に同じタイミングで出た地元で誰が結婚したとか誰が子供産んだとかそういう話をしながら、私はパッタイを、元彼はカオマンガイを食べた。元彼は鳥肉をたくさんくれて、私は食べきれなくなったもやししか残ってないパッタイをあげた。

上映時間ギリギリにプラネタリウムに入ると、二人並んで座れず、バラバラに離れて天の川の話を聞きながら天井に映された星を見た。元彼は私のこと好きなのかわからないし、私も元彼のことが好きなのかわからないけれど、元彼とは大体半年に1回こうして会う。現代の織姫と彦星だ、と思いながら少し離れた席の元彼を見ると、ぐっすりと眠っていた。

綺麗だったね。寝てたくせに。また来たいな。起きてられるならまた一緒に。レッドブル大量摂取してくよ。はいはい。

お茶をして姉に頼まれた買い物をしてブラブラと歩いていたら汗が本当にひどいことになってしまい、2人してTシャツを買って表参道ヒルズのトイレで着替えた。表参道ヒルズ近くの小学校でお祭りがやっていて、どうにもビールが飲みたくなってしまった私たちは、帰りに楽になるように新宿へ行って笑笑に入った。新宿から私の最寄りまで15分、元彼の最寄まで50分。

はーいと言いながら乾杯。元彼は乾杯をするときにおつかれと言わない。「いつも何しても楽しいから全然疲れてないし」と以前言っていた。馬鹿でふざけた人だなと思う。その馬鹿さがなんとなく嫌で別れたのが5年前だ。今はその馬鹿さに安心する。あまり東京に友達のいない私は、基本的に自宅か数少ない友達のうちの1人の家でしかお酒を飲まない。久しぶりに外で19時台から飲み出したアルコールが、慣れない時間と暑さと日頃の疲れにやられた体にぐんぐん広がっていった。「暑かったね、こっから帰って風呂入ってってしんどいよ」と言う元彼に「帰らなきゃいいじゃん」と言ってしまい、「違う不可抗力だ、アルコールが変な速さで変に広がって」と付け加えたけど、無様だったと思う。

22時にお店を出て、当たり前のように差し出された手を当たり前のように握り返して並んで歩いた。あれもきっと不可抗力だ。

新宿駅前でバイバイ

またね。次は半年後じゃなくてもいいんだよ。